折角なので「ぼくらの」のOP/EDも歌いまくったのですが、実は原作11巻も制覇してしまった(^^;)もので、アニメ映像付きの「アンインストール」を歌うと、結構熱くなりました。
そして最初のED「Little Bird」を歌うと、原作版「ぼくらの」(結局全11巻、制覇してしまいました^^;)のあるシーンが頭をよぎって、無駄に目から汗が出そうになりました。。
■吉川寛治(カンジ)編 アニメと同様、原作でも出番は終盤近いカンジ君。この頃になると単行本の登場人物紹介ページは、死亡を示すスクリーントーンで半分以上埋まっていました(涙)
アニメとは大幅に違う(マキちゃんのエピソード以降、アニメオリジナルな展開になっています)カンジ君の戦闘ですが、原作はもう、通勤途中の電車で読んでいて、涙腺ハートバーニングになりそうでした……。
12番目のパイロットとなったカンジ君の相手は、通称「ジャベリン」と呼ばれる、脅威の長距離砲撃が可能なロボットでした。
コックピットは背面に剥きだしという一見酷く無防備な格好に見せて、とんでもねー曲者。
ハワイから約6500Kmという、超長距離からの一方的な狙撃を可能とする脅威の攻撃で、ジアースを圧倒しました。
戦闘直後、マーカー用に自分のパーツの「針」のみを戦域に突き刺し、すぐに飛行してその場を離れた「ジャベリン」。両親が深くかかわっている「沖天楼」と呼ばれる建物に思い入れのあるカンジ君は、そこを死に場所にしたいという願いから戦域を敢えて街中で戦闘を開始してしまいましたが、それが裏目に出ました。
(※尚、原作版では周囲の大人達や政府・国防軍はパイロットの少年少女達に協力的で、パイロットの戦闘後の事も考慮し、出来る限りその意向に沿う形で戦うようにしてくれています。そのため、カンジ君が街中で戦う事にも反対はありませんでした)
ジアースは、実は索敵機能が弱点の一つで、パイロットの目視によってしか索敵が出来ない為、一旦目視出来る距離を超えて離れられてしまうと、手も足も出ません。しかし敵は、自らの切り離したパーツをマーカーとして、長距離狙撃が可能。しかもジアースは、街の被害を食い止める為に離れられません。
ジアースは、敵の直撃弾を受けても一発では沈まないだろう…と田中さんは予想しますが、それでも何発も受け続ければ危ないのは確かでしょう。
更に、48時間という戦闘時間の制限もあります。48時間決着が付かなければ、相手の地球諸共自分達の地球も消滅してしまいます。
軍による攻撃もされますが、勿論敵には通用せず。
このまま敵の直撃を受け続ければ、ジアースでも危ない状況。しかし街が人質に取られている状況では、ここから動く事も出来ません。
このまま打つ手無しか…? と思われた時、ウシロ君がある作戦を口にします。
「人の魂を的にして、ジアースのレーザーで敵ロボットのコックピットを撃つ」
ジアースの能力を使うと、人の魂の位置などが分かります。中でも自分がよく知っている人の魂は識別が可能です。つまりそれを「的」とすれば、ほぼ間違いなしの狙撃が可能になります。
相手ロボットのコックピットは剥き出しになっているので、その付近にカンジ君の知っている人を「的」として配置すれば、それは可能な作戦でした。
しかし。――当然、的となった人の運命は推して知るべし。
自分は戦闘後に命を失うにしても、それは出来ない…と躊躇うカンジ君。そんな彼に、作戦の「的」となるべく手を挙げた人がいました。
――それは、関一尉でした。(アニメではジアースのコクピットの調査をしようとしてコエムシによって片腕を失った人ですが、原作版ではその役は違う軍人さんがなっているので、彼は片腕を失っていません)
田中さんと一緒に子供達の傍に寄り添い、ジアースの「契約者」にもなり、彼らに戦闘で多くアドバイスもしていた軍人です。
時間は無く、ジアースは何度も直撃を受けて、今更接近戦に切り替えても不利な状況なのは変わりません。
ウシロ君の作戦は取り入れられ、関一尉をマーカーとして、ジアースのレーザーで「ジャベリン」のコックピットを狙撃する作戦が決行される事になりました。
敵に目的を悟らせないようにする為、関さんだけではなく、他に22人の志願者(元々はジアースの契約者が足りなくなった時に備えて募っていた契約者の候補でもありました)を含む隊は、コエムシの力で「ジャベリン」の近くまで転送、陸路で「ジャベリン」のコックピット付近まで行くこととなります。
22人の志願者の中には、ジアースと敵ロボットとの戦闘に巻き込まれ、家族や大切な人を失った人々が大勢いました。…すみません、と謝るカンジ君に、関一尉を始めとする決死隊の隊長が
「君達は、背負わなくてもいい責任を背負わされてきた。むしろこれは全て、私達のするべきことだったのだ」…静かにそう語っていったのが印象的でした。
ジアースの戦闘に巻き込まれた遺族の中には、ジアースのパイロットを恨む人間も少なからずいます。この隊長にしても、複雑な気持ちだったかも知れません。ジアースの戦闘のルールや、パイロットが戦闘後にどうなるかを分かっていたとしても、大切な人が理不尽に奪われたという事実は変わらない訳で。
順番が後になる程、そういう「罪の意識」も増していくのが「ぼくらの」の辛い所なのですが、カンジ君はどう思っていたでしょうね…。
責められた方が却って楽だったのか。
それとも、軍人としての使命と、ただ「これ以上大切な人を失いたくない」という気持ちでの行動に少しは救われたのか。
――勿論この作戦は、敵側に気付かれ、関一尉達を攻撃されれば失敗です。
しかし軍による攻撃も一掃した事で安心したのか、「ジャベリン」は近付いて来る関一尉達には眼もくれず砲撃を続行。関一尉は、見事「ジャベリン」のコックピットの近くに到達しました。
この時、目的地に走る関一尉は、ある歌を歌っています。
ジアースのコックピットにいた田中一尉の通信機はその歌を彼女に伝えていました。
こんな時に、アニメの歌を歌っていた関一尉。
「声が裏返って…ちゃんと歌えてないじゃない…」 ぽつりと呟く田中さん。
そう、その歌がアニメ「ぼくらの」の最初のED
「Little Bird」でした。
道しるべとなる枝をくわえて、その足下に落としてあげよう、
向こう岸にいるあの子が、迷わぬように―― この歌詞は、正に今の関一尉そのもの。…カンジ君が迷わず狙撃出来るように。外さないように………。
やめろよおおおおおおおおぉぉぉぉ!!! ・゚・(ノД`)・゚・
俺の涙腺がハートバーニングしちまうよ……。
こうしてジアースは、見事戦闘に勝利しました。残り二戦。
……残されたパイロットはちゃんと戦えるだろうか?
自らの希望で沖天楼の屋上に転送されたカンジ君は、死の間際、ふと
「次のパイロット」について思いを巡らせます。
カナちゃんは契約していません。
そして、なんと
もう一人の「未契約者」は、ウシロ君でした。(ウシロ君が、カンジ君に戦闘の直前に話しています)
となると、残った契約者はマチか田中さん。…しかし田中さんはウシロ君達の後に契約した為、先ずはウシロ君達の順番が回った後でないと、次のパイロットにはなれません。
しかしカンジ君は、マチの事に色々思う所があり、彼女に警戒するようウシロ君に告げていました。
…まさか。
彼の死に際の予感は当たっていました。
次のパイロットは、契約していなかった筈のカナちゃんだったのです……。
なんていうか、色々泣けた話だったのに、これで持ってかれた感じでした(何故カナちゃんが次のパイロットになったか? は、次のカナちゃんのエピソードで語られます)
カンジ君もまた、男性陣の中ではホントに心がイケメンな奴だったと思います。
あのウシロ君と親友やってましたし…。それもカンジ君が一方的にそう思っていた訳ではなく、ウシロ君の方も同じようにカンジ君を親友と思っている所に、彼の人柄が伺えます。
そして非常に頭も回る方なのかな、と。(マチの事にも薄々気付いていた感じですし)
ウシロ君が「契約していない」と明かした時、カンジ君は何故だましていた、とウシロ君を責めるのではなく
「俺はカナちゃんと、お前の為に戦うよ」……そう言いました。ウシロ君が契約者でない事に、寧ろホッとしている様子だったのが、なんか泣けます。
結局、その後カナちゃんもウシロ君もパイロットとなってしまうので、やや切ないと思うのですが、それでもカナちゃん達もしっかり戦い抜いて彼らの地球を守ったので、結果としてカンジ君の気持ちは無駄になどなってはいない。……そう思いたいです。
カンジ君は、カナちゃんとウシロくんの間柄についても勿論知っていました。
彼は、今までずっと、ウシロ君がカナちゃんをいじめていても、あまり止めたりしようとしていません。…正直、読んでいて凄く違和感があったのですが、その理由も戦闘の直前に明かされます。
実は、それは
カナちゃんがカンジ君に頼んでいたからでした。
ウシロ君が、実はカナちゃんの本当の兄ではないこと。カナちゃんはそれを知っていて、「血の繋がり」に甘えて自分に暴力をふるう兄の暴挙に耐える事で、「家族としての安心感」を与え続けていたこと。
本当は自分から言うような事ではないんだけど、と前置きしてカンジ君が告げた衝撃の真実は、ウシロ君を動揺させました。
カンジ君は、何故カナちゃんがそれを知っているのか? ということも、ウシロ君が何故、カナちゃんの兄として今の家にいるのか? その辺りの事情は知りませんでした。それでもカナちゃんの願いに応え、黙って二人の兄妹を見守り続け、二人の兄妹が少しでも良い関係になる事を願って戦いました。
自分の家族の事よりも、友人と友人の妹の事を心配していたんですね。
しかし、それはそれで、少し哀しい事だな…と思いました。
――カンジ君は、自分の家族の事はどう思っていたのか?
彼の家庭も、ちょっとした事情を抱えていました。
彼が思い入れのある「沖天楼」は、実は耐久性の面で非常に問題のある建物でした。彼の両親は、その「沖天楼」の設計に共に深く関わっていたのですが、耐久性の面で問題があるにも関わらず「沖天楼」の建設は様々な利害関係や思惑の中で進んでしまい、それを気に病んだ彼の母は、「沖天楼」の屋上から飛び降りてしまいました。
そしてそんな事があっても会社の中で順調に出世を続け、仕事で殆ど家を空けていた父の姿に、カンジ君も当然思う所があった訳です。
彼は自分の戦闘が終わったら、父に「沖天楼」の件について責任を取って貰うよう、田中さんに頼んでいました。
母に先に行かれ、父とも疎遠だったカンジ君。同じく母に先立たれ(本当の母ではありませんでしたが)、父とも疎遠だったウシロ君と共通する寂しさを抱えていた事が、ウシロ君を放っておけない理由の一つだったのかな…と思いました。(ただ、ウシロ君のエピソードを見ていると、それだけで友達してた訳ではなかった、というのも分かりますが)
最後、では何故契約者ではなかったウシロ君が、今まで皆に付き合っていたのか?
その理由を、ウシロ君は戦闘後、カンジ君が「沖天楼」に転送される直前に明かしました。
ワクを突き落としてしまった事の罪悪感からだけではなかった、と。
「バカ野郎。泣かせるなよ」 これが、ウシロ君とカンジ君の別れの言葉となりました。
カンジ君がウシロ君を親友と思っていたように。少なくとも、ウシロ君とその妹の為に戦って、死ねると思う程大切に思っていたのと同じように。
ウシロ君もまた、そう思っていたのですね。
泣かせるなって。
………
読者の台詞だよ…。・゚・(ノД`)・゚・ 。
そして、でもちょっと思いました。
ウシロくん。…その中に、
カナちゃんも入れてやれよ…。と…。('・ω・`)
そしてこの後のカナちゃん編を見て思ったのですが。
…アニメ版は、原作ファンからはどちらかというと批判的な声が多いです。(正直、マキちゃんのエピソード以降は、ほぼ完全にオリジナル状態だったので、気持ちは分からなくもありません^^; ハガレンの最初のアニメ版みたいな残念さというか…)
でも、アニメ版は結局カナちゃんは最後まで契約者ではなく、生き残ります。
…それが、正直一抹の救いだとも思えるので、
アニメ版のラストも嫌いではないと……。
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