ぼくらの ―チズ編について―

 こんばんは、星野です。「ぼくらの」全11巻読破してから早何日か経ちました。
 本当に、全エピソードについてつらつら熱く語りたい位なのですが、なかなか時間が無く…今後も時間を見つけてはチラチラアップしていこうと思います。
 今回は、全パイロット中、アニメでも中学一年生で妊娠とか色々かっとビングしていたチズちゃんのエピソードについて語ってみたいと思います。
 …ぶっちゃけ、原作版はアニメ版よりものっそい事になってた……(汗)
 畑飼先生、アニメ版以上にゲスさが輝いていました……。
 大筋そのものは大体アニメ版と同じですが、チズちゃんの姉への想いと、そのお姉さん/家族についてがより深く掘り下げられていました。
 ――「人を疑う」という事を知らず、悪く言えば「お人良し」なのんびーりした家族の中に育ったチズちゃん。しかしそんな家族の中でも、姉はとても尊敬し、慕っていました。
 やがて中学生になった彼女は、色々と話を聞いてくれる&尊敬出来ると思う畑飼先生に淡い恋心を抱くようになります。…そしてある日、「付き合っている人がいる」と言われながらも、畑飼先生への想いを諦めきれず、先生の家で関係を持ってしまいました。
 それから二カ月程経ったある日。
 いつものように皆には内緒のデート。しかし連れて行かれた先でチズちゃんを待っていたのは、見知らぬ男達でした。
 そのまま「俺、デートだから」とチズちゃんを置いて去ってしまう畑飼先生。
 残された彼女を待っていたのは、こんなん深夜放送でも放映出来ねーじゃねーか!! という悪夢そのものな出来事でした。
 その時の動画で脅され、男達の言うがままに従う他無かったチズちゃんは、やがて先生を殺し、自分も死のうと決意します。しかしそんな時に自分が妊娠している事を知り、「お腹の子供の為にも、犯罪者にはなれない」と復讐を一度は諦めました。
 そんな彼女を待っていたのは、畑飼先生からの非情な一言でした。
 彼はチズちゃんのお腹の子供さえ、動画のネタにしようなどととんでもねー事を言い出したのです。

 …この畑飼先生は、ゴキブリという言葉すら生ぬるい、本当のゲスだと心底思いました。

 そして彼女は自然学校で「ジアース」の契約者となり、そのパイロットとなります。
 コクピット内で散々錯乱したカコ君を刺殺し(ええええええ!?って感じでした。…平然とした表情だったのが更に恐ろしさをアップしていましたね)そのまま次のパイロットとなった彼女は、「ジアース」の力で復讐を開始。自分に酷い事をした男達を「ジアース」の探知能力で探し、周囲の避難民を顧みずに一人ずつ殺害していきます。
 最後に残した先生。
 しかしその時、車の中から逃げ出して来た先生と一緒にいたのは、チズちゃんのお姉さんでした。

 コエムシの力でコクピットから出た彼女は、自分のお腹の中に畑飼先生の子供がいること。そして、畑飼先生を殺すつもりである事を姉に告げます。しかし彼女の姉は、そんなチズちゃんの復讐を止めました。
「チズちゃんと先生の間に何があったのかは知らない。でも、人を殺すなんて、そんな事を言っちゃダメだよ。
 人を恨めば、その瞬間からその人は不幸になる。それに、そういう状況になってしまったのは、その人本人にも責任があるんだよ。
 多分、チズちゃんはどこかで少しずつ、選択を間違えた」


 付き合っていた人が、何故か妹と関係を持ち、更に妹はその相手との間に子供を宿していた。
 そして、ナイフを持ってその人を殺そうとしている。

 その時点で、大体どんな経緯があったか位は大人のお姉さんなら想像出来そうなモンですが、それでも、チズちゃんの復讐を自らの身体を投げ出して止めようとするお姉さん。
「邪魔をするなら、お姉ちゃんも殺すよ」
「いいよ。………私を殺すチズちゃんも、受け止める」
 結局姉を殺す事が出来ず、再び「ジアース」のコクピットに戻るチズちゃん。
 お腹の子供も道連れにしてしまう事。…そして、結局姉を殺せなかった事、最後の最後、復讐を止めてしまった自分自身も、あんなに「のんびり屋さん」と思ってた家族と結局同じだったこと。
 様々な悔いを残しながら、姉の幸せを願いながら、戦闘に勝利。お腹の子供と共に静かに眠りにつきました。
 戦闘後、彼女は「ジアースの顔の光点に注意して」と言い残します。
 この事が、「未契約者がもう一人別にいる」事を明らかにします。

 大体大雑把に語るとこんな感じなんですが、……この回は、畑飼先生のゲスっぷりと、もう一つ。
 チズちゃんのお姉さんも、強く印象に残りました。
 チズちゃんが尊敬していたというのは分かるし、言っている事もしている事も正しいと思うのですが、何故か、酷く、気持ち悪いと思った所が……。

 チズちゃんは、田中さん達に責められようと、平然とした顔で避難民ごと自分に酷い事をした男達を殺して行きました。完全に復讐に取り憑かれた状態の彼女でしたが、そんな彼女にさえ、復讐を思いとどまらせた人。
 そう書くと、何か物凄く聖人君子みたく思えます。
 実際、色々と悟っている人なのかも知れない、と思います。…特に彼女が、自分の命をも投げ出して、チズちゃんの前に立ち塞がった時、「ああ、この人は、きっと自分がチズちゃんと同じ目に遭っても、そういう事が言える人なんだ」と思いました。
 確かに、チズちゃんは色々な所で選択を間違えてしまっていたと思います。
 昔家族で旅行に行った時、窃盗の常習犯のおじさんに騙された家族に、「だから言ったのに」なんて言っていた彼女ですが、彼女もやっぱり色んな意味でその「お人よし」な性格を持っていたのかも知れません。
 幾ら淡い恋心を抱いて、学校の先生だからと言って、一人暮らしの男の部屋にのこのこ上がってっちゃ駄目だったでしょう。
 まだ中学一年の教え子に対して、それも付き合っている人が他にいると言っているのに、平気で手を出してくるような人を、信用なんかしちゃ駄目だったでしょう。
 しかしそれを差し引いてもチズちゃんが受けた仕打ちはそんな一言で帳消しに出来る程甘くありません。
 この時点で、お姉さんはチズちゃんに何があったのかを明確には知らなかった事もあり「チズちゃんにも責任があるんだよ」という言葉が出て来たのかも知れませんが、知っていてもこの人はそれを平然と言いそうだな、と思いました。
 そしてどこか、そんな彼女に、人として何かが欠落しているような気持ち悪さを感じました。

 チズちゃんがジアースのコクピットに戻った後、彼女は畑飼先生に、チズちゃんと何があったのか話してくれるよう求めています。その後畑飼先生とは別れたようですが、それでも彼女と彼女の両親は、畑飼先生に対して、警察に訴えるとか、何も罰を求めるような事はしていません。
 理由は、チズちゃんがその復讐の為に、何の関係も無い一般人を巻き添えにしてしまったからです。
 チズちゃん本人も既に許されない事をしてしまった以上、自分達が畑飼先生に対して罰を求める事は出来ない、と……。
 確かにその通りですし、娘や妹がそんな目に遭ってもその綺麗事を貫いたからこそ、お姉さんが言った事にも説得力が出るとは思います。そして、そんなお姉さんだから、あのクズという言葉も生温い畑飼先生も、きっと少なからず大切に想ったのかも知れません。
 けれど。
 あの先生を野放しにするという事は、第二・第三のチズちゃんを生み出す事にも繋がるかも知れない訳で、また哀しい復讐の連鎖が続くかも知れないのですが、あの家族はその件については放置なんだな…と思いました。チズちゃんのした事への償いと畑飼先生の罪を見逃すという事は、決して同義ではないと思うのです。

 そしてもう一つ、妹があんな仕打ちを受けた事に対して、怒りも憎しみも露わにしないこのお姉さん(&チズちゃんの両親もですが)は、人としてやっぱり何かが欠落している気がしました。
 お姉さんは、自分が言った通り、あんなクズと付き合っていたのは「自分の責任」の一言で片付けて良いと思います。ただ、自分の為ではなく、妹の為に、せめて一発位はビンタの一つもかましてやってくれ…と思わずにはいられませんでした。
 別にそうした所でチズちゃんは何ら救われませんし、意味も無い行為なんですが。
 その程度の感情を見せるのは、姉として家族として、ごく当たり前の行為なのではないか、と。

 ううん、なんかひねくれてるのか、自分は……(^^;)
 ウシロ君やマチが訪れた時の一連の会話等を考えても、やっている事もその考えも正しいと思うし、助けたいと周囲の人が思うのも分かる、とは思うんですが…。

 最後に、畑飼先生。
 彼が後にキリエ君にぶっ刺されたのを見た時、正にそれも自分のした事の「責任」だ、と思いました。
 それなのにうろたえて救急車を呼んでくれと田中さん達に言うシーンを見て、エラそうにキリエ君に色々言ってたけど、自分は結局その持論を守れてねーじゃん…(苦笑)と思いました。
 そしてそんな畑飼先生は、ゲスだけれど酷く人間臭いとも思いました。
 変な話ですが、チズちゃんの家族よりよっぽど「人間」らしいな…と。
 勿論、どちらがより好感度高いの? と聞かれれば、圧倒的にチズちゃんの家族>>>(越えられない壁)>>>畑飼先生、ではあるのですが(笑)

 チズちゃんのエピソードは、原作/アニメ共に、どちらも救いのない、後味の悪い話だったと思います。(それを言うと、カコ君はもっと救われないですが^^;)

 次回は、やっぱり萌えたウシロ君か…カナちゃんか…、マチ編辺りを語りたいと思います。
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ジャンル : アニメ・コミック

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コメントありがとうございました >Kさま

 同じように思っている方がいて、ちょっとホッとしました…(^^;)いや、実は私がかなりひねくれた見方をしているのかな? と思っておりましたので。
 仰るように、妹は勿論、交際相手に対しても大して執着や関心を持っていないのかな…? と思いたくなりますね。
 少なくとも交際相手として尊敬もしていたし愛していたでしょうに、そんなにあっさり別れられるものなのか? とも思いますし。(内心では色々葛藤があったかも知れませんが、その辺が全く描かれていないので、やっぱりどこか違和感を覚えます)
 チズちゃんのした事への償いは償いでするとして、畑飼先生の罪を見逃す、というのはちょっと…違いますよね。あそこは、少し残念に思った所でした。そ

 れでは、コメントありがとうございました!

コメントありがとうございました

 こんばんは、コメントありがとうございました。
 チズちゃんの記事は「ぼくらの」の記事では一番反響が大きかったですが、皆さん同じようにお考えの方が多いみたいでした。
 決して間違ってはいないと思うのですけど…。妙な違和感は拭えないですよね。

No title

自分の行動にたいしての結果は受け入れるが、「できることがあるならやる」主義。
だから救急車を呼ぼうとする。

子供を教育したいという情熱も本当。
だから「警察は呼ぶな」(自分の犯罪を隠したい意図が大きいだろうが)

まあ、クズにはまちがいないけど。


プロフィール

星野 海紀

Author:星野 海紀
徒然なるままに様々な事を書き綴っています。現在は「キングダム」&「ゴールデンカムイ」、「テラフォーマーズ」に熱いです。他に聖闘士星矢や遊戯王、旅行記等、話題の範囲は広いです(笑)

連絡先:natch.2002ina★gmail.com (★をアットマークに変えて頂ければと思います)

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