■第45話 YELLOW JACKET ARMSBUG 日本原産大雀蜂 総大将は、火星で二度戦う。 嘗て恋人と多くの仲間を失ったその星へ、今度は艦長として再び降り立つ小町小吉。
相手は彼が愛した女性の特性(のうりょく)を持つカイコガゴキ。
果たしてその決着は…? って感じだった訳ですが。
まず冒頭、クロカタゴキを見事KOした慶次から。
「本当(ホンキ)………ヘビー級の人って、尊敬するが―…」
これって、方言ですかね。回想でも島のおじーちゃん相手に方言で喋ってるシーンがありましたが、普段標準語でも何かの拍子にフッ…と故郷の方言が出ちゃう、とかまたポイント高ぇと思いました(笑)
取り敢えず慶次は無事…とは言い難い姿ではありますが生きていて何より。クロカタゴキも起き上がる気配はありませんし。
そして一方、上では、マルコスがアラクネバスターMKⅡを駆使して大活躍。
何気にあれ、自分の「糸」を通す事で三節棍みたいな感じで使えたんですね。…かっけぇぇ!
「……あんた糸 出せたんだ。それに その棒術も大したもんじゃん」
そして相変わらず座ったままの加奈子ちゃんが可愛い。
「ああ…でも糸はこの一本しか出せねぇんだ。長さも無ぇし。今みたいにアラク…武器と合わせて使うぐらいだな。それに棒術なんて大したモンじゃねえよ。只のヤンキーの鉄パイプ術だ」
アラクネバスターMKⅡって言って良いのに(^^;)
皆にフルボッコだったのが堪えたのか……? しかし「ヤンキーの鉄パイプ術」強ええ! 火星のゴキにも通用するとは。あんな治安状況が最悪な街で生き残って来たのは伊達じゃないんでしょうね。
そう言えば、アシダカグモって「糸」出せたんですね。調べてみると一本だけ出せるとか…?(ただ、その糸で巣を作ったりはしないみたいですが)
そしてもう一つ。
今回はゴキを10数匹相手にしても、全然息切れしていないマルコス。
加奈子ちゃんに指摘されて言葉を濁したものの、それは、当然と言えば当然。
最初に火星で戦闘状態になった時は、
シーラを失った直後でした。スタミナが弱点のアシダカグモなのに、更に激情に駆られてフルパワーで暴れまくれば、どうなるかは明白です。
そして今、明るいノリを見せて艦長の背中を引き受けた頼れる16歳の彼ですが、やっぱり今でも平常心かと言われれば答えはNO。
だからこそ、今の艦長は心配なようです。
何故ならあの「カイコガ」ゴキは、どうやら艦長にとって「特別な人」の特性(のうりょく)持ち。シーラを失った直後のマルコスと同じ心理状態でも不思議じゃありません。
「戻ろうぜ。何か―――…」
やっぱ、育った環境のせいかな…(単にオレがアレックスやシーラより狡い性格なせいもあるが)ああいうのは、一目見れば 解る。
"蜘蛛糸蚕蛾"(ヤツ)の方が"上"だ。 階級か戦闘能力かは ともかく―――少なくともあの二匹の間では!
「嫌な予感がする」
正直、マルコスも根っこの部分は全然「狡い」なんていうには程遠い子だと思います。
ただ、彼の場合「生き延びる」為に手段は選ばずとばかりに、一度はギャングに入った事もありました。そういう所からも、あの三人の中では一番、目的の為になら多少は手を汚す事を厭わない人間かも知れません。
そういう彼だからこそ、「狡い」事を考えるあのギャングのような連中を嗅ぎ分ける感覚も鋭いのでしょう。火星のゴキ達は大分頭を使って戦うようになって来ているので、マルコスのような嗅覚は大事かも…と思います。
そしてそんな彼が「上」と見たカイコガゴキ。
それを相手にしている艦長。…うん、それは確かに嫌な材料揃いまくりですが……。
その手の予想は、大抵良い方向に外れるんだよなぁ…(^^;)
と思ってみると。
ふと上を見上げた慶次。その眼に映るのは、張り巡らされた糸にからめ捕られた誰かの図。
――そう、絡め取られていたのは、ボコボコにされたカイコガゴキ!!!
圧倒的武力制圧。 この煽り&「日本原産大雀蜂」のサブタイトル。また編集さんが良い仕事してます(笑)
「……どうした? お前が選んだ土俵だろう」
「……弱くなったな」
表情一つ変えず、最早完全に勝敗が付いた状態を見せてくれた俺達の艦長!!
どうやら、またマーズ・ランキングの発表がお預けになってしまったっぽいですね(^^;)いつになったら明らかになるんだ……?
一方、まだ終わりじゃないぜとばかりに体勢を立て直し、
「何か」を上空に向かって放り投げるカイコガゴキ。それはまるで合図に見えますが…何を意味するのか、カイコガゴキとの決着そのものより、こちらの方が嫌な予感がします。
しかもまあ、この
「チラッチラッ」と上を見上げるカイコガゴキのイラつき度がハンパじゃありません。
上にいる投石部隊への合図…ですかね。「おいっ、お前らさっさと援護しろや!」的な…? だったらまだ安心出来るのですが(そっちはもう、加奈子ちゃん&マルコスがコールドゲームにしてくれましたし)
一方、小吉はそんな事にはお構いなく、カイコガゴキの前に降り立ちます。
なんか誰も来てくれないし逃げられそうもないしで万策尽きたかと思いきや、カイコガゴキが取ったのは、周囲に張り巡らせた糸を使い、小吉をふん縛る事でした。…うん、やっぱ「上」っていうのは「狡さ」で「上」という事なのか…?
――そのまま小吉に一撃をお見舞いしようとするカイコガゴキ。
その時!!
ボンッ! ………って。
ねぇ、何? それ、何?
なんか飛んだ…! 毒針飛んだ!!
「フゥ――――――ッ…」
って、いやいやいや、艦長、
それ何!? すっ飛んだ毒針は食道下神経節の辺りを直撃。そのまま叩きこまれた掌底からの一撃で針は更に奥深くメリ込み、次いで放たれた猛ラッシュを前に、最早カイコガゴキは反撃の暇すらありません。
ゴキを一方的に武力制圧する艦長の脳裏に浮かぶのは、愛したアキちゃんの姿。
『絶っっっっ対、無理』
優れた蛋白質補給食品でもある「カイコガ」を絶対に食べず。
『蛾とか…ベースが蛾とか……』
…やっぱりベースがソレと知ってエラく落ち込み。
『まあ しょうがないじゃん、お前それしか適合しなかたんだし…』
『あんたは いいよね。カッコいいもんねスズメバチ』
『蛾だってカワイイじゃん。アップで見るとシーズーみたいだし』
『ど・こ・が!! それにまずシーズー自体カワイくないし』
可愛過ぎるんですが、アキちゃん!! ・゚・(ノД`)・゚・
しかしあの…すみません、一点だけ異論が……。
シーズーはカワイイですよ!!!(笑)
メッチャ可愛いじゃないですか…好きだよ…オレは…!!
更に時間は遡り。
まだ小吉がランドセルを背負って歩く年頃だった時、何故か家の扉の前で座り込む少女が一人。
『――同じクラスだよな、お前。何してんの? 家の前で。部屋にゴキブリでも出た?』
一瞬、義父に暴力を振るわれて…とかチラッと思ってしまいましたが、原因はそれではなく。
『………が』
この上目遣いは反則だ!!! そりゃ、小吉少年もヒトメボレするわ。ホレるわッ!!!
『よ……よーしっ。まかせとけ!』
これがきっと、単行本1巻で語っていた「あん時アキちゃんは部屋の隅でふるえてるだけだったよね…」の辺りの事なのでしょうか(涙)
他愛も無い、懐かしい昔の記憶。火星であんな事にならなければ、きっと二人で暮らしていたであろうあのド田舎の家で、何度もあったかも知れない出来事。そう思うと……ううっ…。
最後、叩き込んだ渾身の手刀は、見事にカイコガゴキを穴の底にメリ込ませ、こちらもKO勝ちです。
「捕獲」 って言ってますが…これでもまだ、死んでないんかこのゴキは…?(((( ;゜Д゜)))
というか。
最早見せ場が見せ場にもならん位、圧倒的勝利!!!
これぞ圧勝&完勝!
流石小町艦長、俺たちの日本代表強ええええ!!
大雀蜂、最 強 だ!! さて。
バグズ2号時代は明らかに使えていなかった、この毒針ミサイルだの肘のカッターだの。
一体、何回手術を受けたらそんな風になるんですか…?
思わず尋ねた慶次に、小吉は言いました。
「何回…? 何 言ってんだ。大雀蜂だけだよ。あとは修行だ」 ちょっと待て。
修行…? 修行って何…!?
空手六段はともかく、修行で毒針が飛ばせるようになるんか!? 肘からカッター出せるようになるんかッ!? それは手から衝撃波を出したり時間を止めるのと同じ位ハードル高いと思うんだ、艦長!!
ここに、慶次が列挙した小町艦長20年の修業の「成果」をリスト・アップ!
百匹位昼からぶっ続けて倒してましたよね。
毒液飛ばしたり毒針飛ばしたり。
腕力も相当――。
ヒジから出てるのは。 全部、オール雀蜂ッ!
あともう一つ。
「カッコイイのも、雀蜂の特性な」(ビシッ! とボーズ決めて)
全て雀蜂。ツノゼミにも他の生物にも浮気せず、雀蜂一筋20年。
バグズ手術を「時代遅れの技術」と言っておきながら、自分はバグズ手術一本。
何と言う
日本男児の鑑…!!
更に、よりによってあの「カイコガ」ゴキとの戦い直後に茶目っ気たっぷりに冗談まで言えるこの余裕。
惚れるわ。「年を取ってますます同性に好かれるのが悩み」 とプロフィールにありましたが、こりゃ、正に「漢が惚れる漢」じゃないですか! ついでに女子だって普通にホレますよ!!
しかし、そんなのんびりした話の間にも、小町艦長は「何か」に気付いたようです。
「…見てたか?」
「……ええ…」
シリアスモードに戻る二人。果たして二人は、「何」を見たのか…?
先程のカイコガゴキの合図に関わるものか、それとも。
そして、遠く離れた密集ピラミッドでは。
久々登場したロシア班がいました。どうやら、無事に入口を発見、ピラミッドの中を探索中なのですが…。
「――考えられる可能性は幾つかあるが…
密集ピラミッド(ここ)は大して、重要な施設じゃないのかも知れん」
なんかこう、あー、やっちゃったなーっていう感じの表情で頭をポリポリ掻きながら呟くのは第三班班長・アシモフさん。
…一体それはどういう事なのか…?
そして、蠍娘ちゃんが相変わらず無事な事にホッとしつつ。
次号はロシア班のターンみたいですね。
思えば28話でピラミッド探索に入ってから、音沙汰無しで気になっていましたが…。
彼らも、何かこう、嫌な予感がします。しかもこっちの「嫌な予感」は外れる気がしない…(汗)
1.そのまま大した戦果も無く夜明け。一旦ピラミッド探索をやめるかまだ続けるか考える。
2.「なんだ、何もねーじゃん」と帰ろうとしたら、ゴキに…
3.その後何か更に奥の重要っぽい部屋なり通路なりを見つけ、そこへ向かう。 1~3のどれでもない、第4の選択肢も当然あるのでしょうが、そろそろ七星&本多博士のターンも来るのでは? と、ちょっと楽しみです。
ていうかあの…ある意味、密集ピラミッドが結局何だったのであれ、やっぱり何だかんだで相当ヤバい場所にいるのは間違いない気がするので…頑張れ、ロシア班…!!(そう言えば、ジョージの剣だの天体図らしきものが描かれた部屋だの、その辺は見つけたんですかね…? そこも気になります)
<追伸> 小吉が「20年の修業」で色々とやれるようになっていましたが、あれは矢張り、手術を受けて長く時間が経てば経つほど、それだけベースになった生物の特性が「馴染む」から、というのもあるのかも知れません。勿論、あれだけ能力を使いこなせるようになったのは紛れも無く本人の努力の賜物だとは思いますが。
親から天然でバグズ能力を受け継いだミッシェルさんや燈も、「薬」無しである程度変異したりその能力を使ったり出来ますし。M.O.手術を受けて20年近く経つアドルフさんもレーダーみたいな能力を使ってましたし(それを考えると、やっぱり彼って貴重な人材だったよね…と改めて思います…)
他の皆も年月が経つにつれて、段々ベースの生物が馴染んで、薬を使わない素の状態でも限りなく「薬を使った」状態に近付いていくのかな…と。
それが実は手術の影響だけでなく、例のA.E.ウィルスとかも関わっていて…とか色んな展開が考えられそうです。ロシア班のターンでこの辺が解ると良いなぁ、と思います…!
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