キングダム第409話「何もない男」

 こんにちは、星野です。
 昨日のフィギュア、羽生選手の頑張りに思わず拍手したくなった反面、やっぱり今後のスケート人生の事も考えれば、無理をしないという選択肢も…と思わずにはいられなかった私です。
 ただ、本人がやると決めた以上、とにかく無事に滑り終えて欲しいと願うしかない、という解説の織田さんの言葉が印象的でした。実際、そうなんでしょうね。早く治って、ベストな状態での「オペラ座の怪人」を是非拝みたいです!!

 …閑話休題。
 今週はサラッと史記に出て来る重要人物が出て来ましたが、思いもかけずロウアイのターンでしたね。
 最初は只の太后様の夜のお相手だった男が、今や一国の主に。…それはこの男に何を齎したのか…!?
■感想御題:人間、何が転機になって人生変わるか分かりません。…この男も…。
 次第に規模が大きくなり、太后様の手綱が効かなくなりつつある「アイ国」。
 そこでは将軍「樊於期」が息子ともどもやりたい放題。周辺の集落という集落を「演習」と称して狩り尽くしていました。

 …もう、武力の面でも、次第に暴走が始まっていたのですね…。
 曰く、「既に仕上がっている軍というのは、時々力を解放せねば内部崩壊へとつながる」。…いや、こんなんやらなきゃ統制が取れない時点で、既に半ば以上崩壊してるんじゃ…? というツッコミはさておき。
 このまま明確な「本番の時期」すら明らかにせずに放置するなら、もっともっと好き放題やるよ? としれっと言い放つ樊於期将軍に、アイ国大臣・虎歴さんは言います。
「もう少しだ」
 ――と。

 そしてその頃。
 朝廷の場では、すっかり「アイ王様」と呼ばれているその男が、玉座へと向かっていました。
「王はやめよと申しているのに」
 そんな風に言いながら、彼の脳裏に浮かぶのは太后様の言葉。
「これ以上、連中に乗せられるんじゃないよ」
 そしてその言葉は、今のこの状況に浮かれていた彼を、ふと現実に戻らせました。

 彼は「考えてみれば恐ろしいことだ」…と振り返ります。
 彼は元々、普通の下級文官の家に生まれました。身体はやたら大きかったものの特に体力も無く頭が良い訳でもなく、小さな頃はいつもいじめられていました。
 当然そんな感じなので度胸も無く、戦だって兄たちに行かせて自分は家でお留守番。
 戦で武功を立てる事も、知力で出世する事も出来なかった彼は、何とか父の人脈で下級文官に士官する事は出来ましたが、そこでもやっぱり何が出来るでもなく。
 …例の車輪芸を上級・中級文官達の接待の場で披露するだけが、取り柄となっていました。
 しかしそれが、彼の人生の転機となりました。

 呂不韋の部下の一人がその噂を聞きつけ、彼を太后様の「夜のお相手」に指名したその時から、彼は後戻りの出来ない道へと足を踏み入れる事になりました。
 あんなに身体もナニもデカいロウアイがガタガタ小動物の如く震え。手合せの最中も「おっお許しをっ…」とか言ってるってあの…太后様、どんだけですか…(ガタガタ)
 なんだこれ…なんだこれ…。
 式部さんVS.犬のアレ並に衝撃のエロ(?)展開ですよ…。

 元々胆力の小さな男が、こんなん毎晩相手させられたら、そりゃもう嬉しいとかより恐ろしい、と思う方が普通というものでしょう。
 しかし、彼はある夜気付いてしまいました。
 いつもの如く快楽に顔を歪めていた太后が、涙を流していたのを…。

 愚鈍な彼ですら気付いた、その恐ろしく深い心の傷口は、彼女を絶えず苦しめ続け、かつて「邯鄲の宝石」とさえ呼ばれた彼女の輝きを遺さず奪い去り、今や醜悪なその姿に嘗ての面影はありません。
 しかし、そうでもならなければやっていられなかった彼女の胸の内を、一体誰が理解していたのか…。
 彼女がこんな悲しいモンスターとなっても尚愛している呂不韋にすら、きっと理解は出来ないのでしょう。

 心の中のクレバスが生み出した深い闇に苦しむ彼女の心の内をほんの僅か垣間見たロウアイは、その夜から少しでも彼女の苦しみを忘れさせてやりたいと、そう願うようになります。
 ただの道具にすぎなくても、苦しみのはけ口にすぎなくても良いと。
 何のとりえも無く、ただ下品な芸を披露して人に笑われていただけの自分が、どんな形であれ誰かに「必要とされている」…そう感じられた事は、彼にとってはとても尊い事だったのでしょう…。
 そんなロウアイの心は、太后にも伝わっていたようです。
 そんだけヤリまくってれば、当然の結果として子供が出来てしまいました。当然堕胎と思われましたが、何と太后は堕胎という選択をしなかったのです。
「私は産むぞ」
 …そしてこの時の顔は、ほんの僅か、嘗ての美姫の面影があったような気がします。
 もしかしたら、どんな形であれ少しでも苦しみを忘れさせようとしていたロウアイの心が、ほんの少しだけ、太后の心に刺さった棘を抜いてくれていたのかも知れません…。

 しかし、当然ながらそれは「破滅の道」。
 ぶっちゃけ後宮に男娼として潜入してあれこれやってる時点でとっくにその道に足を踏み入れてはいる訳ですが、その上子供まで…となれば、もうそれはK点遥かに超えちゃってます。アウトです。一発レッドカードは免れません。
 誰にも知られずに産み育てるなんて出来る訳ない、と必死に産む事を思いとどまらせようとするロウアイですが、太后は平然と言い放ちます。
「我が道はとっくの昔にその道にある。今さら破滅が何だってんだい」
 外には雪。彼女はその白い景色を眺めながら、ふと呟きます。
「これは破滅を急ごうって話じゃない。このガキを宿して何故か私の中に真逆の願望が生まれた。心を休めるって、願望さ」
 そう呟いた彼女の後姿は、ひどく頼りなくたおやかな美姫のもの。
 ロウアイは思います。このアイ国こそが彼女の言う「心休まる場所」だったから、今この状況へと二人は辿り着いたのだと……。

 もう政の顔も呂不韋の顔も見たくない。好いた男と好き放題やってここで暮らす。
 呂不韋に言い放ったあの言葉は、全くの当てつけという訳ではなく、紛れもない本心の一部ではあったのでしょう…。

 己の立ち位置をここで確認したロウアイは、とにかくまずは自分がしっかりしなければ、と思い直しました。ここでしっかり太后が休めるように、もう涙する事のないようにと。
 まずは「王」をやめさせること、それを徹底しようとするロウアイ。しかしもう、時は多く残されてはいませんでした。
 例の虎歴のジジイが、「その刻」を告げたのです。

「ロウアイ様と太后様の"不義の件"。お二人の"隠し子"のことも含めて 咸陽にばれてしまった模様です。怒れる咸陽はアイ国(ここ)を討つべく密かに軍を興す準備に入ったとのこと」

 こちらから先手を打たねば、全てが灰と化す。

 あの日見た彼女のたおやかな背中が願った「心の安らぐ場所」。…それも、太后との間に授かった二人の子も。全てが霧散すると知ったロウアイが取る行動とは…?
 次号、揺れるアイ国の中で、太后は…!?


<追伸>
 今回、ただ調子に乗って来た小物とばかり思っていたロウアイの胸の内もしっかり描かれてしまうと、何かこう…この男も、ほんとに数奇な運命を辿った人間だなと改めて思います。
 並外れて美しかったが故に呂不韋に見初められ、子楚に目を付けられ、人生が狂った太后様。
 並外れてナニがデカかったが故に太后様の夜のお相手となり、矢張り人生が狂ったロウアイ。
 …何とも言えない気持ちになります…。
 ここが二人の安息の地、とは言うものの、こんな形で作り上げた「国」が、果たしてそういう場所になりうるのか…? それは疑問ですね。

<追伸2>
 しかし、正直政の側の気持ちを思うと、やはり複雑な気持ちになります。
 母の心に多少なりとも変化を齎したのが自分ではなく、どっかの訳わからん男と、その男との間に出来た子だと知った時、どんな気持ちになるのでしょう…。
 太后はもしかしたら、ロウアイとの間に出来た子達に対しては、母親をやってみようという気持ちになっているのかも知れません。でも、それでは政はどうなるのか…? 政もまた、紛れも無く彼女が産んだ子供です。
 そして政はそんな太后を前に、どうするのでしょうね。
 政は母の苦しみを止めてやるのを「実の子としての役目」と言いましたが、どうやって止める気なのかが、改めて考えさせられます。子としての愛情ではなく、「役目」としてやるんですから…。(まぁ、趙でのあの暮らしを考えれば、政が彼女に対して愛情なんて持てないのは当たり前だしそこは仕方ないのですが)
 ロウアイは、例えそれが対症療法でしかなくても、彼なりの誠意で太后に接したからこそ、彼女の心を多少なりとも動かしたんだと思います。政は子としての役目として彼女の苦しみを止めようとしていますが、それではきっと、彼女の心は動かせないでしょう。…いずれにせよ、悲劇的な結果しか見えないのが何とも…。  

<追伸3>
 しかし、まさかここで樊於期将軍が登場するとは…!!
 史記では後に重要な役目を果たす人物ですが、この悪っちいやりたい放題な感じ、今後物語の中でどう動くのか目が離せません!!

<追伸4>
 しかし、虎歴大臣が言った「二人の件がバレた」こと。
 行動を起こす為に大臣が吐いたウソなのか、そうでなければ、まさかと思いますが、呂不韋サイドがこっそりバラしたんじゃ…? と思わずにはいられません。ロウアイを送り込んだ件だけはうまくごまかしつつ。
 そうやって後戻りできなくなったロウアイが反乱を起こす→その反乱で大王が命を落とす→その反乱を自分が鎮圧する→で、大王を討った悪者を儂が倒した! 儂が王だー! …的な…。
 って何か、何処かで見た事ある話です。もし呂不韋がバラしたんだとしたら…ますます、そう上手くいかせてたまるかあああ!!!
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No title

こんばんは☆うえでんです^^

今週号はまさかのロウアイのターン!そして、「樊於期」の登場!!

ぶっちゃけ、樊於期については対合従軍の時はどこにおったんや^^;?とも思ってしまいますが。

太后に関しては(ある意味呂不韋の言うように)自業自得、弱さゆえの面もあるとは思いますが、ロウアイの回想を聞いていると複雑な気持ちになりますね。

太后にとって、もう破滅への道は避けられない展開ですが、政との直接対決は避けたいところですよね。願わくは、万極の時のように、信が太后の棘を少しでも抜いて介錯役を務めてくれることを祈ってます☆

切ないなぁ…

ロウアイが登場する物語は数あれど、こう言う形と言うのは初めてでした。

生来、善良で根が優しい男なんでしょう。何の取り柄もなかった自分に降って湧いた、幸運と言うにはあまりに大きなチャンス…それを何とか成就させて、人の役に立ちたい。それだけなのかも知れません。

そして…今回は太后様も切なかったですね。もしかしたら彼女は、ロウアイの出現で、計らずして政からも呂不韋からも一時離れることが出来て、心を休めると言う選択肢が自分にまだ残されてる事に気付いたのではと思います。

これが戦乱の世でなくて、自らが神輿として担がれる事がなければ、どこかで心を休めながら、余生を過ごすことが出来たんでしょう…そう考えると切なさがこみ上げてきます。

一人一芸

星野さま、更新ありがとうございます。

あのロウアイの車輪芸、王賁パパが見てたらスカウトされたかもしれませんな。

「私の‘国’にはうぬのような宴会芸をもつ人材が必要だ!」とかね…。

じ、実際、外交交渉時の接待には使えそうな…

たぶんオルドさんよりはいい待遇で召し抱えてもらえると思ふ。

呂不葦のシナリオ

管理人さま、こんばんは!
呂不葦の描いたシナリオとは?そしてその通りにはならないはずなのですが、ここからどうなっていくのか注目したいです。政が大后を止めると言っても良いイメージがわいてこない…。
なんにしても近いうちにムタが何処の所属か判明しそうですね。討伐軍の指揮を誰がとるのか?騰と蒙武はないかな?もしかしたら信がからむかも?このままでは大后は政のなんだったのでしょう?どちらにとっても良い結果になりそうもない…。

No title

ついに登場した樊於期将軍!
これによりキングダムにおいてお頭とは完全に別人ということが確定し張唐将軍も草葉の陰で(とりあえず)一安心といったところでしょうかね?
今後のお頭がどうなっていくのかも楽しみですが、やはり目の前の問題が先ではありますね・・・・
虎歴は何者かと繋がってるのは明白でしたがやはり本命は呂不韋でしょうね。
ムタは虎歴の配下で間諜の始末役って感じですかね?
で、ムタの出自を考えると虎歴は楚とも繋がっててアイ国と挟み撃ちで戦力を分散させ、政が咸陽留守にした時呂不韋の真の狙いが発動する気が・・・。

呂不韋ィイイイイイイイ

こんにちは。ずっと前に一度コメントさせてもらって以来、二度目のコメントになります。

今週は信も政も出てこない溜めの回でしたが、太后とロウアイの悲哀が増す重要な回でもありました。てっきりこのまま周りに乗せられて破滅の道を爆進するのかと思ったロウアイが、太后様への想いを再認識し自分の道を歩もうと決意するとは思いませんでしたが、やはり、二人を待つ運命は容赦がなさそうですね。

ツケを払うべきただ一人の男、呂不韋がいまだ余裕ヅラなのが気に入らないので、早いところ取り乱すダンディを拝見したいところです。ぜひとも竭氏越えの顔芸で。

あと、自分は史記は未読で「樊於期将軍」についてもまったくの無知なのですが、なんだか息子のほうの調子に乗った涼しい顔にイラッときました。できれば信にサクッと殺られて将軍昇進への一里塚になって欲しいものです。

これも愛?

星野さま、こんばんは。羽生選手のケガ、大事ないといいですね。心の傷に苦しむファントムそのものの、鬼気迫る演技でしたが…

そして、女ファントム・太后様。この何週間か、「政の父親ってどんな人だったのかな」と改めて考えてます。魅力ゼロの「絶対無理!」な男だったのか、元カレのようには愛せないけど、これが運命なら妻になってもいいかな…くらいには思える人だったのか。
そして太后様も、少しはいい妻になろうと努力してみたのか…?その上で裏切られたのだとしたら、悲し過ぎますね。政にも、もう本当に愛情はないのでしょうかね…

愛には色々あるものですね~。平和な世の中で、太后様が王の母でなかったら、単なるアホカップル(笑)として幸せに暮らす事も出来るのでしょうが…

何気にいろんな男達からモテてる太后様。一度くらいは幸せそうな笑顔も見てみたいかなぁ。
プロフィール

星野 海紀

Author:星野 海紀
徒然なるままに様々な事を書き綴っています。現在は「キングダム」&「ゴールデンカムイ」、「テラフォーマーズ」に熱いです。他に聖闘士星矢や遊戯王、旅行記等、話題の範囲は広いです(笑)

連絡先:natch.2002ina★gmail.com (★をアットマークに変えて頂ければと思います)

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