■感想御題:何があっても守るべき命と友の為。陽ちゃん、貴女も生きるんだ…ッ!! 琉期様のセクハラ発言が冒頭から凄すぎて、人生から左遷させてやりたい衝動に駆られます。
容赦なく逃げる宮女も殺し、
「宮女の肉もふつうの女より柔らかいぞ」などと恐ろしい事を口走っています。
そんな中、サラッと「樊於期様は
太子の首を取りに向かわれました」という部下Aの言葉にが気になります。
やっぱり向ちゃんより先に身籠った宮女の子という事なのでしょうか。そして「太子」とは矢張り史記に言う扶蘇なのか…!? 太子がいたって、そんな話をこんな所でサラッと明かすなんて(^^;)
それはともかく。
琉期がここまで余裕こいてるのには理由がありました。
「どうせ王の子らに、逃げる場所はない」 ………やっぱりか。…やっぱりなのか………?
やっぱりだった!!!(悲鳴)
隠し通路の入り口まで辿り着いた微久達。しかし微久は用心深く、扉の前にひっそり黒石を置き、万一入口を動かした時に解るように印を付けていました。
…その、本来なら動かない筈の、施錠した筈の扉の黒石が、動いていた。
イザッて時の隠し通路が、現太后すら知らないってのはどうなんだとか色々ツッコミどころはありますが、ともかく本来誰も知らない筈の通路、しかもしっかり施錠までしてたのに扉が動いていた。…つまりそれが意味するものは、「この通路は敵にバレている」ということ。
…何故だと考える微久。
しかし呂不韋の手は、想像以上にあちこちに回っていたのでしょう。…ここ数日の彼の動きが監視され、そこから隠し通路が敵にバレてしまっていたのです。
しかし、もう外にまで喚声が聞こえている状況です。
頼みにしていたプランαが潰えた今、プランδなんてあるのか…!?
そんな微久達の前に現れる大殿仕えの亜民なる男。…もう登場時からして怪しさ爆発だった訳ですが、やっぱりこいつも呂不韋の手の者でした。
向ちゃんと麗に迫る亜民の刃。
しかし微久は身を呈して向ちゃん達を庇い、何度も刺されながらも決して亜民を離さず、逃げろと叫びます。
こうして、ノープランでその場から離脱せざるを得なくなった向ちゃん達。しかし微久が倒れ込んだ時、近くにいた陽ちゃんもそれに巻き込まれ、その足が不吉な音を立てていました……。
三人だけの逃避行となった中、倒れ込む陽ちゃん。
その足はありえない程腫れ上がり、骨にまで異常があると思わせる重傷です。…この足では、もう走る事は出来ません……。
しかし「ようちゃん」とカタコトながらの言葉で心配する麗に、陽ちゃんは笑いました。
「大丈夫。私も向ちゃんも、運と根性じゃ他の宮女に負けないから。お前も頑張って走れるだけ走るんだ」 肩を貸そうとする向ちゃんにもいらないと断り、自分の足で走ろうとする陽ちゃん。そんな二人が立つ場所は、黄大庭という後宮の一角。
そこは二人が初めて出会った場所でした。
こんな時でも向ちゃん達を気遣い、懐かしい思い出話をする陽ちゃんが泣けて来ます…。
「私と向ちゃんはここの庭当番でお友達になったんだよ。おしゃべりばっかりしてて、毎日怒られてたけどね」
ドロドロした女の戦場の中にあっても、暖かな日向のようだった二人の時間。
お庭番で出会い、友達になり。それからもずっと仲良しのまま時を過ごし、時には大王様に町娘のような恋をする向ちゃんを心配してみたり、向ちゃんが怪我をした時は伽の順番を変えてまでその命を救おうと大王の元へ直談判に行ったり。…宮女という立場で言えば、向ちゃんは陽ちゃんにとっては強敵。しかしここが「女の戦場」だと理解していても、それはそれとして裏表無い友情を貫き通す陽ちゃん、この子も強い光を輝かせていますね。
そして今も尚、陽ちゃんは向ちゃんを助ける為に最善の手を尽くそうとしていました。
裏切っている宦官がいて、同じく宮女だって裏切っている者がいるかも知れない。
なら、兎に角
少しでも敵から遠くへ行く。その為に、2人の「庭」でもあるこの場所からよく知る通路を取り、最短で外へ抜けるルートを取ったのです。
しかしそれは、後宮が「庭」である宮女にも読まれてしまう手でした…。
そう、陽ちゃんが読んだ通り、宦官だけではなく宮女にも呂不韋側の人間がいたのです。
地下道の封じ込めに失敗した亜民。報告を聞いた琉期の兵は「お前ら琉期様は失敗を許さぬからただでは死ねないと思え」と容赦ない言葉を浴びせました。
そんな中、同じく呂不韋側に寝返った宮女が言います。
この辺りはあの二人が任されていた区画。…なまじ
詳しすぎる分、2人が何処へ向かうか察しが付くと…。
「身をわきまえぬ幸福を手にしたあの小娘に、どうかむごたらしい死を…」 勿論自分もこのままじゃヤバいというのもありますが、それ以上に上回るのは、恐らく貧しい商人の出でありながら大王の寵愛を受け、更に女子とはいえ子供まで授かった向ちゃんへの嫉妬でしょう。
女の嫉妬とは、げに恐ろしきものよ…。
清リトル納言への狙撃のライフルを祝砲に変えてやったパープル式部さんをアンタも見習えよ…! あの宮女の姿を見ていると、
「ブスがブスたる所以はその心までもブスな処にあり」 …というあの言葉、至言だと思いました……。
その頃、向ちゃん達は宮女の読み通り、最短で外へ抜けられるルートを通っていました。
複雑な後宮の小路を幾つも抜け、三低通りという道まで到達した三人。…ここから後宮内を走る可晶水路へ出る事が可能です。そこまで行ければ、後は舟で北の端まで出られるとのこと。
何処へ隠れてもしらみつぶしに探されていずれ見つかる。
…こういう時は出来るだけ敵から遠くへ離れるのが最優先。
流石は陽ちゃん、武家の娘だけあって、父に叩き込まれた教えをしっかり守っています。
陽ちゃんが足を負傷していなければ、もしかしたらもう少し早くこの道まで付いて、もっと遠くまで行っていたかも知れません。
しかし相手は向ちゃん達の逃走ルートを読んでいる上、移動手段は馬。
もう少し、あと少し距離を稼ぐ刻があれば…ッ。
その耳に聞こえたのは馬の蹄の音。
勿論、本来こんな場所で聞こえる筈のないものです。そしてそれは真っ直ぐに、向ちゃん達の元へ向かっていました。
…ここの絶望感ハンパなかったです…。
紫夏さん達の逃避行と同じかそれ以上でした。
武器も無く。戦う術もなく。相手は武装した騎馬隊。こちらは徒歩で、しかも子供を連れた女二人。
…こいつらマジで容赦ねェ…ッ!!! 咄嗟に元来た道へ向ちゃんを行かせようとする陽ちゃん。しかしその道にも、既に追っ手の姿がありました。
あああああああ!! 早く!! 早く、信来てくれええええ!!! もう絶望しかないですよ………。
3)逃げられない。現実は非情である。
これ一択になっちゃうじゃないですかッ!!!
元来た道は戻れない。
そして当然、戦う術も無い。
援軍なんて勿論、来る筈が無い。
…そんな中、陽ちゃんはそれでも、ほんの僅かでも、向ちゃん達親子が助かるかも知れない可能性のある手を瞬時に考えました。
「水路まで走れ向ちゃん。私が時をかせぐ」
「なっ…何言ってるのやだよ。一緒にっ…」 ここまで気丈に后として母として頑張っていた向ちゃんも、これは心が折れそうになる事態です。
ここで初めて、陽ちゃんは凄まじく強い口調で向ちゃんを叱責しました。
「向っ。何があっても麗を守ると言っただろ。后としての、母親としての責任を全うしろ」 ここで仮に時を稼げたとして、きっともう、2人が助かる可能性なんてゼロに等しいでしょう。
それでも最後まで走れと告げた陽ちゃんに、向ちゃんも水路へ向けて走り出しました。…遠くから「ようちゃん」と呼ぶ麗の声が聞こえるのがまた切ないです…。
二人他愛のない話をして笑いあっていた日々が、どうしてこんな大惨事に。
どっかの群青戦記でも言ってたじゃないですか…。生かしとくべき人は光って見えるって…。いや、今だってもう、
陽ちゃんも向ちゃんもめっちゃ光ってるよ!! 私の眼にはそう見えるよ…ッ!! (ノД‘)・゜・。
そして時を稼ぐと言った陽ちゃん、恐るべき事に本当に具体的なプランを考えていました。
(先頭の馬に飛び込んで転倒させて、後続も巻き込んで全て転倒させる……) …上手く行く可能性は限りなく低いですが、正直それ位しか、時を稼ぐ手は無いでしょう。
馬から落馬すれば相手だって怪我をしたり、打ちどころが悪ければそこで何人か人数が減るかも知れません。何より移動手段の馬がなくなれば、相当追跡のスピードは緩まります。こんな捨て身の戦法をこの状況ですぐさま考えて実行に移そうとする陽ちゃん、ハンパないです…。
自分より一つ年下の向ちゃんを、もしかしたら五歳の頃に亡くなった自分の妹と重ねていたかも知れない。
そんな風に思う陽ちゃんは、正に向ちゃんにとっても姉のような存在だった事でしょう。
…正直、大王の寵愛以外に後ろ盾のない向ちゃんにとって、陽ちゃんの存在は相当な盾になっていた事でしょう。陽ちゃんの父がますます気になる処です。そして今もこうして自分の身を盾にしても守ろうとしてくれる陽ちゃんのような人は、今後も向ちゃん達にとって必要な人。
天よ どうか、あの二人の命だけはお守りください。 心の中で願いながら、先頭の騎馬と対峙する陽ちゃん。
いやいやいやっもう一人位守ってくれよ、天よ…ッ!!!
迫る先頭の馬に向け、両手を広げて飛びかからんとする陽ちゃん。
響く向ちゃんの悲痛な叫び。
そしてその叫びに重なる
「ルアアアア」の叫び声!!! 陽ちゃん、幾ら気合入れてたってその叫びは…! と思ったら!!!
キタ━(゚∀゚)━! 一・刀・両・断ッ!!!
まずは先頭の男が真っ二つにされ、人生から左遷されました。
諦めずに最後まで出来る最善の手を尽くしたからこその、この奇跡でしょう。
よかった…ッ。3)現実は非情である。でなくて、本当に良かった…ッ!!
「ったく。気合の入った宮女だな」
馬上ではなく地上、しかも手負いの状態ではありますが、何だこの安心感…!
そして陽ちゃん、この男が
おまけ漫画で向ちゃんが話してた信様だよ!! 惚れるか…これは惚れる展開来るか…ッ!?(ドキドキ)
これが、人の光…!! しかしこの状況、まさか本当に信一人…ではないにせよ、飛信隊の数も相当少ないでしょうし、まだまだ予断を許しませんね。
いやもう、わき腹サクッと刺された位、信的には軽傷な筈だよね……。
馬上VS.地上、それに負傷位、こいつら相手に丁度良いハンデだと思っていいよね……。
そう信じて、琉期様にはこの世から左遷されて頂きましょう。
それにしても流石信、ここでなんだかんだしっかりこの戦の「大炎」の中心へたどり着いた辺り、本能型の才能ハンパねえ!!
信の闘いを楽しみに待ちつつ、次号まで…待機じゃあ!!
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