第483話「勝敗の夜ふけ」

 こんばんは、星野です。
 いよいよ500回まで遂にあと20回を切りました! 400回目の時に「イイ女ランキング」なんて企画をしたのが昨日のことのようで、感慨深い思いです。
 記念すべき500回目がどんな話になるのか!? 二人で高い山へ登る話とかだったらもうテンション上がり過ぎて大変な事になりそうですが、その前にこちらの「山」攻防戦がまだ残っていました。
 黒羊の丘は、桓騎さんが送ったとんでもねー「プレゼント」に激震。離眼を桓騎軍の魔手から救うべく、目前の勝利を捨てても丘を捨て、離眼救出へ向かわんとする紀彗。
 その判断は、………何を齎したのでしょう…。
■感想御題:紀彗の判断と、その代償。「僅か半日で決着」の意味が今、明らかに…。

前回までのあらすじ:
 完全に要塞化した黒羊の丘を手中に収め、秦軍を屍の山とすべくその時を待つ趙軍。
 しかしそこへ送られてきた桓騎将軍作・「人間の像」とそこに添えられたお手紙は趙軍を激震させます。
「敬愛なる紀彗将軍へ。(中略)離眼も黒羊の住民と同じ目に…否、もっとひどい目に合わせるので覚悟しといて下さい」
 要約するとそんな文章の通り、明らかに離眼へ向かう桓騎軍。それを見た紀彗将軍は丘を捨て、離眼城を救出しに行く決意をします。
 当然、「ちょっと待てや!!」と激昂する岳嬰。
 黒羊を失えば、ここを拠点に秦軍は侵攻を開始し、周辺の城だってそれこそ今の黒羊一帯の集落のような悲劇に見舞われる危険性が出てくる。これはそうさせない為の戦なのだと、「丘を捨てる」事が何を齎すかを上げて紀彗を説得しようとする金毛。
 しかしそれでも、桓騎が脅しではなく「本気でやる」事を肌で感じた紀彗は、丘を降りて離眼へ向かってしまいました。
 離眼の民は戻ってきた紀彗の軍に「勝利した」と安堵の顔を見せますが、それも束の間。
「すぐに離眼を離れる用意をせねばならぬ」
 ………一時訪れた安堵は消し飛び、離眼の民はこの城を離れる事を余儀なくされ。
 そしてこの為に紀彗将軍が払った「代償」の大きさは………。


 という訳で、今週へと話しは続きます。
 金毛&岳嬰さんにしてみれば、元々慶舎将軍が討たれた時点で「終わった」戦を続行させたのは他ならぬ紀彗将軍です。
 …それを、離眼が危ないからと見えてきた勝利を手放すような真似をされて、その心中たるや察するに余りあるものがあります。なんだかんだ、行かせた金毛さんは漢です。…いや、何が何でも行かせない、のがもしかしたら本来の彼の役目なのかも知れませんが…。
 紀彗がした事は、「人」として責める事は出来なくても、「将軍」としてはどうなのだろう、とは正直思いますし。
 実際、金毛さんの言う通りで、ここで負けたら何のために慶舎が討たれても留まり、皆で今まで必死に戦ってきたのか、という話です。その戦いもムダになる事を思えば、素直に紀彗の行動を称賛も出来ず。
 そんな選択を強いた桓騎さんマジ外道、としかもはや言いようがありません………。

 ――さて。

 そんな中、桓騎将軍からの指示を受けて待機していた飛信隊ですが、丘の周辺に伏せられているらしい桓騎軍もまばらで、ほぼ「お前らだけでこの丘を攻略して来い」と言われてるような状況に、信も流石に激おこです。
 桓騎曰く、丘を守る半分の兵は丘を離れるから、という事ですが、流石に知力的に頼りない信でも「なんでそんなバカな真似するんだ」とその言葉を信じる事は出来ません。
 が、実際にその目の前で、紀彗将軍率いる趙軍は丘を降りていきました。
 それを目にした羌姐は、ふと劉冬と交わした会話を思い出し。
「……」
 辛そうに目を伏せます。

 そしてそんな彼女の後ろで喝采しているモブ兵Aの表情に何とも言えない気持ちにさせられます…。

 何も知らない兵達にしてみれば、何だかわからないけどとにかくこれで守備軍の半数が減った! やったー! くらいな気持ちでしょう。しかし、一体何故そんな事になったのだろうと訝しむ側の羌姐にしてみれば、素直に喜ぶ気にはなれない訳で…。
 天下の大将軍が歩む華やかな道に常に付きまとう、「影」の部分が改めて浮き彫りになります。

 さて、ともかく兵の半分、それも高い士気と練度を誇る紀彗軍がいなくなった事により、丘の攻防戦はあっけなく終了を迎えました。そう、ナレーションが言っていた通り、半日かそこらで秦軍の勝利で終わってしまったのです。
 ゼノウ一家の圧倒的な破壊力と、飛信隊の勇戦。
 それは、最初こそ丘の防衛力で秦軍を押し返していた金毛&岳嬰軍を遥かに凌ぎ、遂に趙軍は丘からの撤退を余儀なくされました。
 まるで死に場所を求めるかの如く最後まで残って殿を務めようとする岳嬰に対し、「ここで死ねば負け犬で終わるだけだぞ」と必死に呼びかける金毛。
「無念だが。…ここまでだ…」
 その言葉が、戦の終わりを告げました。
 しかし、信達の表情に喜びはありません。

 その後桓騎軍は、紀彗軍を十分に引き付けた後黒羊へ戻り、秦軍が占拠した丘の上に堂々と登頂。
 これが、この戦の顛末です。紀彗軍はいくつか桓騎軍の小隊は討ったものの無論大打撃を与えるに至らず、離眼城へ入城した後、おそらく今後の侵攻から民を守るべく、離眼城の撤収作業を始めるのでしょう。

 ――その夜。

 いつものように勝利の宴に酔いしれる気分にもなれない飛信隊の元に、今回の戦が文字通り「圧勝」だった事が伝わります。
 そして、その圧勝を招いたカラクリも。

 那貴達の手伝いもあり、貂は桓騎の描いた恐ろしい勝利へのシナリオの全貌を明らかにしました。
 ――曰く。
 桓騎は4日目、飛信隊が慶舎を討とうとしていた頃には、とっくに標的を紀彗へと切り替えていたのだそうです。
 砂鬼一家を使った拷問で捕虜から聞き出していたのは、「紀彗の過去」。…要するに彼の泣き所を探っていたのですね。そして紀彗と離眼城の関係を知った桓騎はわざと丘の攻略をいったん止め、例の村焼きを開始します。
 一般人の死体を使い、「離眼を同じ目に遭わせる」と脅して紀彗軍を丘から引きずり下ろし、そしてその為に趙軍は敗れた。
「じゃ、じゃあ結果的にあの村焼きのおかげで秦軍が勝ったことに…」
 昂が思わず口にしてしまった通り、あの「村焼き」のおかげで、秦軍はこうまで圧勝出来ました。
 桓騎は「丘」でも「総大将」でもなく「紀彗」というキーマン唯一人を的にした作戦に切り替えた事により、この恐るべき圧勝劇を作り上げたのです。
 昌平君も、李牧にさえも決して真似できない、否、「したくもない」と言わしめるその作戦。
 しかしここで貂が「紀彗が離眼のために戦を放棄するなんてただの賭けだ! 遊びじゃないんだ戦はっ」……と叫んだ辺りで、そこがやはり、「軍略家」と「お頭の考え方」の違う処なのだろうな…とも、思いました。
 お頭にとっては、紀彗が離眼へ向かうことは賭けでも何でもなく、ほぼ100%の「確信」を持って言える事だったでしょうから。
 そして那貴は「こんな圧勝劇もお頭ならではだ」と淡々と口にします。
 手に入れた後の丘の要塞化の問題を「趙軍にやらせる」事で解決しただけでなく、何よりその「戦死者数」がこの圧勝ぶりを決定的なものとしています。
 丘取り合戦を止めた事により、秦軍側の戦死者数は、当初予想されていた半分以下。
 黒羊の民の犠牲は? …と思わず問いかけたくなるものの、少なくとも、無理な丘取り合戦をしなかったお陰で、死なずに済んだ兵達が大勢いたのもまた事実。
 要塞化させた丘の奪取と言い、単純に結果だけ見れば桓騎の戦果は凄まじいものがあります…。どんなにその出自を疎ましく思おうと、秦軍の上層部が桓騎を将軍の座から引きずり下ろせないのも頷けるというもの。
 ………しかし。
「ふざけんな。何なんだ…あいつは一体何者なんだっ」
 これが「大人の戦い方」?
 まさに外道!! お前の血の色は(以下略)

 認めたくなくても、その才能は確かに、本物でしょう。
 ………そして桓騎は何を想い、こんな誰も思いつかないような作戦を実行出来るのか?
 これはもしや桓騎将軍の回想が来るか……!? 白老将軍との出会いに期待しつつ、以下次号!!
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桓騎は何を考えているのか?

星野さん、こんばんは!
更新、お疲れ様です。

桓騎凄いんですが、沈黙の狩人がもし信たちに討ち取られていなかったら…?どうだったんでしょうね。慶舎は紀彗将軍の離眼救出を許したのか…?紀彗なら、立場を全て投げ出しても離眼救出に向かうと桓騎は読んだのか。。
確かに、紀彗に金毛のような趙国への忠誠があるかと考えるとないと思いますし、その辺りも桓騎は読んでいたのか。。
貂が言うように、あの時点での丘の放棄、紀彗ヘターゲット変更は、考えられない賭け、不確定な要素が多すぎる作戦だと私も思います。
でも、合従軍編で魏・韓の連合軍15万の中に飛び込んで行った桓騎です。その思考がどうなっているのか、その辺りが知りたいところですね。

Re: 桓騎は何を考えているのか?

 ERさま、こんばんは!
 慶舎がもし討ち取られていなかったら、確かにいくら紀彗一人に的を絞ったとしても、果たして慶舎が紀彗の離脱を許したか否か? …は、謎ですよね。
 少なくとも慶舎であれば、金毛さんとかあの辺りよりは紀彗を生死する力も強いと思いますし、仮に命令違反だとして紀彗を処罰したとしても、離眼兵が一丸となって慶舎に襲い掛かるか? と言えば、それも謎ですし。
 ただ、桓騎の視点からすると、「それでも紀彗は行く」という確信があったのかな…と思いました。
 どんなに傍から見れば「実現するかどうか不明な掛け」であったとしても、桓騎にとってはそうではなかった。
 それだけ人の心理を抉る闘いというものに長けている自信があるんだろうなあと…。
 いずれにせよ、彼の心の奥底にあるもの、それは知りたいですね。
プロフィール

星野 海紀

Author:星野 海紀
徒然なるままに様々な事を書き綴っています。現在は「キングダム」&「ゴールデンカムイ」、「テラフォーマーズ」に熱いです。他に聖闘士星矢や遊戯王、旅行記等、話題の範囲は広いです(笑)

連絡先:natch.2002ina★gmail.com (★をアットマークに変えて頂ければと思います)

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